エジプトに行ってまいりました。このところ1ヶ月に1回は往復しています。そのわけは、第2の太陽の船のプロジェクトの第1フェーズ(第1段階)が終わりに近づいていますので、細々としたことでの調整が必要なためです。NPO法人太陽の船復原研究所が主体で、早稲田大学古代エジプト調査隊とサイバー大学が共同で行っているものですが、約5年をかけて完成するものです。
資金的には、外務省の草の根資金をいただき、早大エジプト発掘40年展での入場者の方々からの草の根募金などがありますが、大部分は、「お、ねだん以上。ニトリ」で有名な家具メーカーの「ニトリ」社からいただいたものです。記録は、九州・福岡のRKB毎日放送が受け持ってくださいます。今月中旬を目途に、太陽の船の部材が埋葬されているピット(坑)の上に大きなテントが張り終わり、エアコンと加湿器が設置され、ピットのふた石を取り上げる伝統的なガントリークレーンが設置され、電源車が設置されます。次のフェーズでは、ピットの中から船の部材をサンプリングし、内部環境を調べ、木材を分析します。これは1991年に1度やっていますが、その後18年もたっていますから、その変化を見ることと、木材が、取り出して修復するだけのものかを再度調べるためのものです。ここに至るまで22年かかりました。古代遺物の中でも最もセンシティブで大きなプロジェクトでありますから、世界で注目されています。
しかし、行き帰り共エジプト航空で行くのですが、乗客はほとんどエジプト観光の人です。そこに、エジプトの専門である私が入るのですから、餌食になってしまうのは当然です。それはそれでありがたいことなんですが、「よろしかったら写真を撮りますか」とか「よろしかったらサインをください」と言う人に少々腹立たしくなるのです。よく考えれば、よろしくあるはずはないんです。でもせっかく私を認知してくださっているのですから、「サイン」「写真」「握手」の三点セットは覚悟してサービスするわけです。これも、皆さまのご厚情とエジプトを広めるためと、「エジプト伝道師」としてやっているわけです。
今回は宿泊していたホテルで、「今夜私たち結婚式をするのですが、よろしかったらご招待します」と言われました。基本的に冠婚葬祭には顔を出さない主義なんですが、それはわかってもらえなくてもいいんですが、「よろしかったらいらっしゃい。記念になりますから」という神経に驚いてしまいます。「今日帰国しますから出席できません」と精一杯の世辞を言っても、「じゃあしょうがないわね」と言う始末です。
私は偉いつもりではなく、基本的に華やかなことを好みません。しかし、エジプトを広め調査費を稼ぐために演じています。ですから、そのコストとして、三点セットは仕事の内として受け入れています。それ以上の何物でもないわけです。これは有名税という一言で片付けられてしまいますが、悲しすぎます。でも、皆さんがエジプトってよかったと一言おっしゃってくれればうれしいので、まあ我慢できるわけです。

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アケトスタッフ

吉村作治のエジプトピアを運営する株式会社アケトのスタッフです。