私は花火が大好きで、両国に行って隅田川の花火を見たり、古くは多摩川、熱海など、大きな花火大会には行っていました。最近は、隅田川の花火には日本火消し保存会から屋形船での観覧に誘われましたり-今年は地方での仕事と重なり残念ながら参加できませんでしたが、浴衣や半纏をあつらえたりしています-東京湾の海上花火大会には、ニトリの似鳥社長にご招待を受けています。
花火のどこがおもしろいのかと質問されますが、私にしてみればどうしてその質問が出るのか不思議です。シュー、シュー、シュー、と小さな火の玉が夜空に昇っていって、よきところでパーン、パーン、パーン、とはじけて、赤、青、緑、黄と色が分かれて夜空に散る。音の心地よさ、はじけるダイナミックさ、広がる美しさ、そしてあっという間に消えていく潔さ。これこそ美しさの極地と言えます。
花火師に憧れたことがありますが、とうてい私のような粗忽者には無理だと諦めたのです。考えてみれば身の程知らずに憧れた仕事は数多く、プロとしてやれたのは考古学者というのもいいか悪いかは別として、不思議なものです。もし1冊の本「ツタンカーメンのひみつ」を読んでいなかったら、私は父の跡継ぎとして友禅師になっていたと思うのです。私は手仕事が好きです。ですから、今でも全ての原稿は手書きです。ワープロやコンピューターが使えないわけでなく、自分の想いは、頭脳から発せられたら首筋を通り、右腕、そして手の指から万年筆を伝わって、インクによって白い紙に落ちるというのがいいと思っています。この数秒に命をかけるのが、物書きの原点だと思っているのです。ですから、私のやりたいことは全て職人です。政治家や企業人、芸能人ではありません。もちろんそうした仕事を嫌ったり悪いと思っているのではありません。むしろ自分にできない、向いていない才能が必要だろうと思っているのです。ですから、努力と我慢と少しの運でできる考古学者が残ったのだろうと思っているのです。そんな中でも、花火師は最も魅力ある職業のひとつです。
しかし、いつも花火を上げるところを見たことがありません。上げる現場はずっと遠いところにあり、私たちはヒューという音で方向を知って、パーンとはじけるところを見るわけです。しかし、7月26日北海道でその現場を見ることができました。北海道の企業で今や全国展開をしている家具販売のチェーン店である、株式会社ニトリの社長似鳥昭雄氏の別荘で、花火大会があったのです。自分の土地に花火を上げる場所があること自体破天荒ですが、人物もそのままです。実は、似鳥社長には第2の太陽の船プロジェクトに資金を出していただいていて、今や第1フェーズも佳境に入っています。本当にありがたいことなので、ニトリのイベントにはできる限り参加させていただいているのですが、これはすごかったです。700発以上の花火を自分の庭で打ち上げるのですから、100人近くの同席の人も1発1発歓声を上げていました。パーティは雨の中でしたが、花火が始まったら、雨も感動して止んでしまいました。「恐るべき花火」です。自分も花火のように惜しまれて終わりたいものです。

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アケトスタッフ

吉村作治のエジプトピアを運営する株式会社アケトのスタッフです。