つい先だって元旦を迎え、桜の花が咲き、ゴールデンウィークがきて、そして気がついたら6月になっていました。岡山オリエント博物館での「新発見!エジプト展」も5月31日で無事終了しました。約5万5千人という観客の方がご来場くださいました。新型ウィルス感染確認者がおとなりの県、兵庫県まできてまして、かなりの影響が岡山にあったと思われますが、よく来てくださったと感謝しています。次は中国山脈をこえた、島根県の松江で6月10日から始まります。松江には先日、お祭り「ホーランエンヤ」でいったばかりです。なんとかたくさんの方々に観に来ていただけることを祈っております。
6月に入りますと、またまたお祭りがたてこみます。6月4日、5日と鹿児島の垂水市の「おろごめ」、6月6日、7日の荻市の「おしくらごう」です。
「おろごめ」は400年の歴史のある子どものお祭りです。浜辺に「おろ」とよばれる四畳半くらいの穴を掘り、小学生が20人くらいで親頭組と小頭組とに分かれて追い出すお祭りです。垂水市は錦江湾に面した良港でして、浜辺にも恵まれています。近年まで海がめが卵を産みにやってきたところです。きっと卵が砂の中で孵ってはいずり出てくる姿をイメージし、子どもたちが無事に育って海という社会に出て行くことを祈願して、この形をとったものと思われます。起源は若馬のかこい込みからきたようです。「おろ」とは奥の谷、「ごめ」とは追い込むことを表しているとのことですが、きっとこのふたつが融合したのではないかと思うのです。もとは垂水市の18の集落がひとつひとつの「おろ」を作り競ったそうですが、しっへりこっへりとなり今年はひとつしか作れなかったそうです。戦後一時期は小学生が1000人もいたのに、今年は50人を切ったということです。しかし参加した子どもたちの意気は高かったです。
次の日私は山口県荻市の祭りにでかけました。「おしくらごう」という山口県の萩市の伝統的な祭りです。もとをただせば村上水軍に発し、その後毛利水軍となった荻の漁師の心意気を示すものだそうです。今は市長参加の行事になり、昔の男たち(今は老人)はさびしがっていますが、前座の中学生、高校生の競争もなかなか良いものでした。しかしやはり最後の青年のおしくらごうは迫力満点でした。
荻といえば吉田松陰先生です。私は大隈重信公、福沢諭吉翁、吉田松陰先生が人生の三大師匠です。全ての生誕の地に行き、空気を味わうとともに足跡を訪ねることで自分を律しています。3人とも高い志を持ちつづけてあらゆる障害をのりこえて一生を終わらせていますが、ひとり吉田松陰先生だけが若くして志半ばで死刑ということで、心が痛みます。また、3人の中で弟子を育てたということでは松蔭先生がだんとつです。友人とか先輩はいなかったのです。藩主ですら弟子ですからすごいものです。私が弟子を大切に育てているルーツはここにあるのです。私の弟子は、日本の政治を正すなどというところに目標をおいていませんが、世界のエジプト学者をくつがえす人は必ず出てくると思います。

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アケトスタッフ

吉村作治のエジプトピアを運営する株式会社アケトのスタッフです。