今までにも何度かお知らせしてきましたように、私たちのエジプト発掘に関する日本国内での展覧会は、現在2つあります。
 1つは2006年7月から全国を巡回している「吉村作治の早大エジプト発掘40年展」で、これは本年(2008年)9月28日で全て終了します。展示品は、終了後9月末または10月始めにエジプト本国に帰りますが、この形での展覧会は日本だけでなく世界中で、もう二度と開かれることはないでしょう。
 帰った展示品のうち約4分の1はカイロ博に納められ、残りはエジプト各地の―出土地に近い―博物館に収納され展示されます。その時、展示物台帳に発見者として「日本人研究組織・早稲田大学エジプト学研究所」と載りますが、個人名は載りません。エジプトのことですから、おそらくこれらの手順に時間がかかると思いますし、整理し分配する係員を私達が派遣しないと進まないと思います。文化的活動、芸術的活動って手間が掛かるのです。
 また、今の状況では帰した遺物の約4分の1、カイロ博に収めるものを中心にカイロ博物館の1階に、特別展「日本国早稲田大学エジプト調査隊40年展」として、本年11月末から約6ヶ月開催される予定です。料金は別に取られませんのでこの間にエジプトに行く方はぜひ我々の展示物の凱旋展示をご覧ください。このための特別図鑑(英文)も作る予定です。これに合わせて私が「早稲田エジプト調査40年の歩み」を現地で12月に講演する予定です。
 その前に日本で、「40年展を終えて」と題する講演会を10月3日に早稲田大学大隈講堂で開きます。早稲田大学総長もご出席下さり、挨拶して下さいます。申し込みは9月29日まで受け付けています。ぜひご来場下さい。
 この展覧会は約2年3ヶ月で11ヶ所を巡回し、延べの入場者数が130万人に達する見込みです。エジプトから来日したVIP、新聞記者、学芸員、修復師、警察関係者は合計150人に達します。その費用たるや半端なものではありません。しかしもちろん収益は上がりましたので、エジプト学を志す若手の育英資金と、早稲田大学理工学部100周年事業(この展覧会は早稲田大学創立125周年記念でしたが、それはすでに2007年に終わってしまいましたので)に寄付しようと考えています。これは私が願った通りの結果でとてもうれしいです。
 さて、もう1つの展覧会、柳の下に2匹目のどじょうを狙った「吉村作治の新発見!エジプト展」は本年(2008年)7月の福岡を皮切りに、2年間10ヶ所を予定しています。すでに8月31日(日)に福岡会場が終了し、1ヶ月ちょっとで10万人の入場者に達しました。今回も福岡の地元テレビ局RKB毎日放送が主催してくださったおかげと感謝しています。次回は10月10日(金)に京都の「えき」美術館で始まります。11月24日(月)までです。私たちがダハシュール北遺跡で発見した夫婦の墓、親子の墓から出土した彩色本棺と、カイロ博物館蔵の来世関係の展示品が展示されています。
 この後の予定は、またエジプトの発掘(ダハシュール北遺跡)と修復(ルクソール王家の谷西谷アメンヘテプ3世王墓)が11月から始まります。これら2つのプロジェクトは早大とサイバー大学の共同のものとして行っています。

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アケトスタッフ

吉村作治のエジプトピアを運営する株式会社アケトのスタッフです。