連日のエジプトのデモ報道で一喜一憂しております私ですが、毎日2、3回電話連絡がとれるのがひとつの救いです。生の情報というものがいかに重要であるか、今回もしみじみわかりました。
   テレビ各局もカイロに特派員を置き、連日デモ会場になっているタハリール広場が見渡せるところから中継されていますが、そこで発する言葉は、その場の説明と、合間にデモをしている人々へのインタビューを差し込み、あとの情報は、現地メディアが伝えていることと政府発表などの映像を流して、手袋をはめてさすった感想を述べるといった形ですから、コートの上から背中をかいている感じです。もちろん、知っていても言えない報道記者の縛りもあるのでしょう。現地の人の言葉を訳して画面にテロップとして出しているものにも、かなりの誤訳やニュアンス違いのものがありますのは、アラビア語→英語→日本語と訳されているうちに、伝言ゲームのような違いが出るのでしょう。
   しかし、2月11日にムバラク大統領はその職を辞しました。遅すぎたと感じる人や、もう少しがんばればと言う人もいます。しかし、民衆の気持ちの流れには逆らえなかったということでしょう。今回の結果は、大衆の気持ちを利用した軍のソフトクーデターと言っていいでしょう。エジプトの30年の強権政治を排除した民衆の力のすごさ、という評論は真実を見ていないと思います。みなさんは、現象の感想を自分の知識と重ね合わせて言っているだけと思うからです。
   ともかくこの混乱で、私たちの活動はストップして大変困っていますが、エジプト国民のことを中心に考えると、そうわがままも言えないので、ただひたすら落ち着くのを待っているだけです。その間与えられた仕事をこなすことで、時間が経つのを待っています。
   2月12日(土)、13日(日)は、山形で講演をしました。山形は久しぶりでした。前日東京で雪が降りうれしかったのですが、積もるどころか、朝には屋根などの雪もまったくなくなっていましたが、つばさが米沢に近付きますと、一面が真っ白になり、雪が降っていました。私は、なぜか雪を見ますと心が休まるのです。
   講演会のテーマは、「エジプト文明の魅力」でした。主催者は久光製薬で、モーラステープという湿布薬のプロモーションのための、整骨医や薬剤師の方などへのサービスに呼ばれたのです。考古学で発掘をしていますと、腰やひざ、ひじ、肩など、関節を痛めるのですが、このモーラステープは、それを和らげるのに抜群の効き目があります。私も、エジプトに行くときは処方していただいて持って行きます。
   山形で集まってくださった聴講の方々の聞き方はすばらしく、東北地方特有の、聞いている方の反応が薄いということを感じさせず、ところどころに入れるギャグにも反応してくださいました。講演が終わっていただいた米沢牛のおいしさは、今まで味わったことがないくらいでした。しかし、量が多くて全部食べ切れませんでした。まるで、ブラジルで出される量のようでした。また、そのとき飲みました山形ワイン「高畠」は、甲州ワインと同じくらい、いやそれ以上でした。
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アケトスタッフ

吉村作治のエジプトピアを運営する株式会社アケトのスタッフです。