古代エジプトの食:食べ物をめぐる暮らし―パン作り

1.粉を挽く

カイロ・エジプト博物館蔵

カイロ・エジプト博物館蔵

一般に、粉挽きは女性の仕事だった。まず、大きめの乳鉢の中に穀物を入れ、ついて砕いてふすまを取り除いた。その後、つき砕いた穀粒を臼で挽いて粉にした。初期の頃の臼は、ひざまずいて作業をしなければならず、かなりの重労働だったと思われる。

その後、傾斜をつけた、より効率的な鞍形の挽き臼が考案され、より一層力強く穀物を挽くことができるようになったと同時に、挽いた粉を容易に集めることができる工夫がなされていたので、作業が楽になった。

2.パン生地を練る

カイロ・エジプト博物館蔵

カイロ・エジプト博物館蔵

パンを作るのは、一般家庭では主婦、貴族の邸宅では召使いたち、大規模な建設現場などでは、とくにその役目をまかされた係の者たちだった。

パン作りの基本は生地を練ることであり、生地を平たく低い石の上に置き、膝をつくか腰をかがめて両手で練るか、大きな容器に入れて足で練った。

粉には、イーストや塩、香料、牛乳、ときにはバターや卵が混ぜられることもあった。

こねた生地は、しばらくおいて発酵させた。その後、円錐形の型に入れるか、型を使わずにいろいろな形にして焼いた。

3.パンを焼く

ティ墓の壁画/サッカラ

ティ墓の壁画/サッカラ

パン焼きの最も古い方法は、火の上にいくつかのパン型を置いて熱し、その中にこねた生パンを流し込み、蓋をして焼くといったものであった。型に合わせて焼き上がったパンは、円錐形をしていた。

やがてかまどが登場し、最初期は、2、3個の石を直立させ、その上に平たい石を渡すという簡単なものであった。また、ナイルの泥から作られた、鈍い円錐形をしたかまどもあった。高さが90cmほどで、頂上部に大きく穴があけられ、中で燃えた炎が、そこから逃げていくといった形のものであった。その場合、パンは外側にはりつけて焼かれた。

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